昭和62年(1987年)栃木県鍼灸師会会長(当時)宅に「三稜鍼による瀉血治療は、医師法違反」として家宅捜査が行われた事件がきっかけとなり、「日本刺絡学会」の前身である「全国刺絡問題懇話会」(準備会)が結成されました。
「刺絡についての全国的な話し合い組織を作って、刺絡に関係のある諸問題を検討する必要がある」という当時の理念は現在も変わっておりません。刺絡の法的問題、学術の啓蒙、教育、普及等の必要性から、刺絡学術のセンター的役割を担う全国的な懇話会にしようという事で、機関誌『刺絡』を発行し、「全国刺絡問題懇話会」を発足いたしました。平成6年(1994年)には現在の「日本刺絡学会」と名称を変更し、『刺絡鍼法マニュアル』を作成。このマニュアルを使用し、全国3会場で基礎講習会を実施し、安心安全な刺絡の普及に励んでまいります。
また、会員自身が自己研鑽を行う手段と、刺絡鍼法の水準を高めるため、刺絡認定制度を設置し、毎年認定審査を実施しております。
鍼灸における基本的治療法の一つである刺絡鍼法の継承と発展によって国民の健康に寄与することを目的とし、努めて参ります。
日本刺絡学会 会長
清水 尚道
刺絡鍼法が、将来にわたって、はり師・きゆう師が行う鍼の技法であり続けるために。
長年にわたり日本刺絡学会会長をつとめてこられた安雲和四郎先生のご逝去をうけ、このたび会長に就任させていただくことになりました学校法人森ノ宮医療学園理事長の清水でございます。日本刺絡学会初代会長の森秀太郎先生は森ノ宮医療学園(当時、森ノ宮学園)の初代理事長、2代会長の安雲和四郎先生は森ノ宮医療学園専門学校校長、森ノ宮医療大学副学長であり、この度、会長という大役にご指名いただきましたことは、私個人のみならず当学園としましても、大変名誉なことと思っております。
日本刺絡学会は刺絡鍼法の普及・発展により、医療に貢献することを目的に設立され、以来、基礎講習会や認定制度を実施するなど、刺絡鍼法への正しい認識を確立するために、歴代会長をはじめ会員の皆様が努力を重ねてこられました。会長就任にあたり、あらためて長年にわたる皆様の多大な努力に対し敬意を表したいと思います。
一方で、正しい認識の確立が必要であるということが示しますように、刺絡鍼法がおかれている状況は十分であるとはいえないのではないかと思います。会員の皆様におかれましても、刺絡鍼法との出会いは、はり師・きゆう師の資格をとり、実際に患者さんに施術するようになって、悩んだ末に刺絡鍼法にたどりついたという方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。刺絡鍼法は、実際に行ってみて初めてその反応を実感できますが、現状の鍼灸業界や養成校の状況においては、その機会を得ることが容易ではないといえます。そうした中で、本学会が果たすべき役割は非常に重要であり、症例の集積や科学的な探求といった取り組みをベースとし、有資格者の方々への普及のみならず、養成校においても正しい認識がなされるように努力していく必要があると思っております。
刺絡鍼法が、将来にわたって、はり師・きゆう師が行う鍼の技法であり続けるために、時代の趨勢を視野にいれつつ、正しい技法の伝承、疾病へのさらなる応用の研究を行っていくことが日本刺絡学会の大きな責務であると考えております。
今まで会員の皆様が尽力されてきたことを継承し、発展させることができるよう取り組んでまいる所存でございます。皆様のご協力をお願い申し上げまして、就任のご挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。
平成27年(2015年)
日本刺絡学会
会長 清水 尚道
昭和62年(1987年)8月 | 栃木県鍼灸師会会長が「三稜鍼による瀉血治療は、医師法違反」として家宅捜査を受け、その後書類送検された【福島事件】 |
昭和63年(1988年) | 前年の事件をきっかけに「刺絡問題懇話会準備会」が発足し、代表に島田隆司が就任した |
平成2年(1990年)6月 | 『刺絡』創刊準備号発行 |
平成3年(1991年)10月 | 機関誌『刺絡』を創刊 |
平成4年(1992年) | 全国刺絡問題懇話会設立総会が開催 「全国刺絡問題懇話会」が発足し、会長に森秀太郎が就任した |
平成6年(1994年) | 「全国刺絡問題懇話会」から「日本刺絡学会」へ改称 |
平成7年(1995年) | 日本刺絡学会会則制定 日本刺絡学会Japan Association Of Shiraku Acupunctureと称した |
平成8年(1996年)4月 | 『刺絡鍼法マニュアル』発行 |
平成9年(1997年)9月 | 第1回刺絡鍼法基礎講習会が東京で開催 |
平成12年(2000年) | 刺絡鍼法基礎講習会が大阪で初めて開催 |
平成17年(2005年) | 東京都墨田区の鍼灸師が「瀉血・医師法違反」の容疑で家宅捜査を受けた【権田事件】 |
平成17年(2005年)6月 | 谷博之氏による鍼術における刺絡鍼法に関する質問主意書提出 |
平成17年(2005年)8月 | 日本刺絡学会初代会長森秀太郎死去 |
平成24年(2012年)6月 | 『新版刺絡鍼法マニュアル』発行 |
平成26年(2014年)12月 | 日本刺絡学会第2代会長安雲和四郎死去 |
平成27年(2015年) | 日本刺絡学会第3代会長に清水尚道が就任 副会長に石原克己、大貫進が就任 |
平成27年(2015年)6月 | 中国鍼灸学会刺絡と吸い玉委員会との学術提携を締結 |
平成28年(2016年) | 刺絡鍼法基礎講習会が福岡で初めて開催 |
令和3年(2021年) | 副会長に楠本淳、関信之、間純一郎が就任 |
令和4年(2022年) | 日本刺絡学会会則改定 |
会長 | 清水 尚道 |
副会長 | 関 信之、間 純一郎 |
理事 | 上馬塲 和夫、内山 千代、浦本 麗子、奧野 浩史、紀野 江理、工藤 哲也、小池 栄治、髙橋 英樹、友部 和弘、中村 敬一郎、濱中 力 |
監事 | 鈴木 信、横山 浩之 |
評議員 | 勝山 義樹、川内 良典、川内 さよ、川辺 裕介、小松 一、首藤 洋、谷岡 賢徳、中谷 努、松隈 夏美、森 悦子、安井 廣迪、山本 涼 |
顧問 | 郭 義、勅使河原 悦司、中川 節 |
名誉顧問 | 石原 克己、大貫 進、工藤 訓正、島田 隆司、丸山 昌朗、森 秀太郎、安雲 和四郎 |
50音順、敬称略
事務局 | (局長)中村敬一郎 (事務・総務)中村敬一郎、紀野江理 (定款等改正検討委員会)小松一 |
財務部 | (担当副会長)間純一郎(部長)奥野浩史 |
学術部 | (担当副会長)関信之(部長)工藤哲也、友部和弘、小池栄治 (認定委員会)工藤哲也、川辺裕介 (国際交流事業委員会)小松一 (ISO委員会)内山千代 |
教育研修部 | (部長)内山千代 |
広報部 | (担当長)清水尚道(部長)浦本麗子 (会報誌制作委員会)髙橋英樹 (ウェブサイトページ委員会)紀野江理 |
敬称略
当学会の会則はこちらからご覧いただけます。
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